新学期、校門の前で立ち尽くしていたのは、ちょっと緊張した顔の女の子——ちちぷいちゃん。
今日からこの「GPU学園」に通うことになった、転校生だ。
「えっと……ここが、わたしの新しい学校……すごい、建物が……光ってる?」
建物の壁には回転する光の模様、床には透明な線が走り、遠くでは宙に浮いた何かが動いている。まるで未来の世界みたいな学園。いや、実際ここは、コンピューターの中にある学校だったのだ。
でも、そんなことよりも今は……。
「友だち、できるかな……」
不安そうにうつむいたそのとき。
「転校生さん?」
声をかけてきたのは、制服をぴしっと着こなした、落ち着いた雰囲気の女の子。
胸元のバッジには「生徒会」と書かれている。
「私はししょ。生徒会で、転校生の案内係をしてるの。ちちぷいちゃん、で合ってる?」
「えっ、あ、はい!ちちぷいですっ!」
ちちぷいちゃんは少しあたふたしながら返事をした。ししょちゃんは、そんな彼女にやさしく微笑む。
「ようこそ、GPU学園へ。最初はびっくりするかもしれないけど、ちゃんと“なじむ場所”が見つかるから、大丈夫」
二人は並んで歩き出す。廊下を歩いていると、部活動中の生徒たちが見えてきた。
「この学園では、みんなが自分の“しごと”を持ってるの。グラフィックを作る部、ゲームの動きを担当する部、データをきれいに並べる係もあるの」
「へぇ……なんだか、みんな本当に働いてるって感じ……」
「そう。ここは、ただの学校じゃないの。コンピューターの中で、世界中のデータを一緒に動かしてる“チーム”でもあるの」
それを聞いて、ちちぷいちゃんの胸の奥が、少しだけあたたかくなった。
自分もこの場所で、誰かの役に立てるのかな?と、思えてきたから。
「それじゃあ、次は人気のクラブを見に行こうか。ちょっとクセはあるけど、面白いの」
「クセ……?」
二人の冒険は、始まったばかり。